弊社では、多言語対応・地域DX化ジオメディア基盤アプリ「mD-Signage(モバイルデジタルサイネージ)」を展開しています。これは、簡単に言うと、スマートフォンをデジタルサイネージ化するアプリです。
観光客や地域住民と情報提供者のラストワンをつなぐ、地域DX情報基盤アプリサービスとして、GPS/Beacon(ビーコン)/QRコード/番号入力に対応し、場所とインターネット上のコンテンツ(HP/SNS/動画/アンケート/スタンプラリー/ゲーム等)を紐づけ、利用者へ情報を提供します。
具体的には、ユーザーが施設や地域に行くと、情報がスマートフォンに自動的に表示されるというものです。インターネット上のコンテンツをアプリ内ブラウザで表示するため、既存コンテンツの活用が可能です。また、観光客や在日外国人に向けた多言語も対応しており、日本語コンテンツがあれば、インターネット自動翻訳を利用することで、容易に多言語化を実現します。
最大の特徴は、骨格になっていることです。例えば、三鷹市には「ミィね!mitaka」というアプリがあり、八王子市には「桑都物語」という日本遺産のアプリが、栃木市だと「蔵ミュゼ」があるのですが、骨格はどれも「mD-Signage」です。そして、三鷹市の「ミィね!mitaka」をインストールして、八王子市に行くと自動的に「桑都物語」に、栃木市に行くと「蔵ミュゼ」に切り替わります。
ユーザーの個人情報は収集していないため、ユーザー数は不明ですが、発行しているユニーク数は約15万です。
ものづくり補助金は再開発に活用させて頂きました。というのは、このサービスは2014年から始めていて、当時のプログラミング言語が古くなってしまったからです。リリース時、iOS版はObjective-C(オブジェクティブ シー)という言語で開発していましたが、開発環境が新しくなったため、Swift(スウィフト)で総て、作り直しました。外見は一緒ですが、内部は最新のものになっています。
既存のコンテンツやサービスをそのまま利用でき、かつ、例えば日本語コンテンツしかなくても、自動翻訳機能を使うことで、短時間でインバウンド対応が可能となります。
当初は、博物館や美術館からの相談が多かったのですが、今は市や島の村などからの引き合いが多い状態です。地域DXの取り組みが盛んだからだといえます。市といった大きな枠だけでなく、町会や商店街などでも情報発信の必要性を感じて頂いているようです。
導入の初期は理解して頂くことに苦労したのですが、運用して2~3年目になると利活用のイメージが付くようで、「こういうゲームを作りたい」などと要望を頂くようになります。
施設や街の情報を表示させるアプリは数多くありますが、「インストールが大変」「削除されてしまう」という情報提供者と「インストールが面倒」という利用者の課題を解決した特許技術「アプリのインストール省略および利用者共有のシステム」(特許第6796241号)を実装した「mD-Signage」のような基盤アプリを提供しているところは、今のところ存在しません。
大手が情報を取りまとめて配信するプラットフォームもありますが、日本人は自分たちで作ったオリジナルコンテンツを発信したいという欲求が強いものです。「mD-Signage」は、自分たちで発信したいと思っているもの、しようと思っているもの、用意しているもの、を軸に情報を配信することができます。
また、ユーザーは、例えば三鷹市のアプリを入れているなら、小田原城に行けば、小田原城のアプリを入れなくとも、小田原城の音声ガイドを聞くことができます。三鷹市と小田原城は競合にはなりません。アプリを共有できます。そうすると利便性も向上されるので、ユーザーも活用してくれます。
単一の美術館・博物館やエリアを有機的につなぎ、市町村レベルの情報基盤として機能するサービスで導入して頂いています。今後はエリア展開で、地域全体の活性化につながればと考えています。
導入実績としては、東京タワー、増上寺、浅草エリア、八王子市(日本遺産)、三鷹市(地域DX化情報基盤)、青梅市、多摩市、御岳山、小田原市、栃木市などがあります。
最も活用して頂いているのは、三鷹市です。商工会が中心となり、観光協会や教育委員会などが加わり、三鷹市の基盤アプリとして採用して頂いています。学校で配布しているタブレットにもインストールされていて、学生さんが街を歩くと、商業と観光の情報を融合して閲覧することができます。そのことで町の勉強を学生さんにして頂いています。また、三鷹市では年に1回、「太陽系ウォーク」という、スタンプポイントが160か所もある、大規模なスタンプラリーを開催しているのですが、従来、紙でやっていたことをアプリ上で行っています。
東京の観光公式サイト「GO TOKYO」の情報も配信しているので、例えば山手線やバスに乗っているときにアプリを起動すると、近くにある観光情報が次々に表示されます。「こんなところに、こんなのがあるんだ」と、新たな発見があるかと思います。そして浅草に行けば、観光情報を多言語の音声ガイドで楽しめますし、飲食店に入ると、多言語でメニューが自動的に出てきます。
多言語のメニュー表示は、東京都がメニューを多言語化する無料で使えるWebサイトを提供しているので、そのサービスを使ってメニューを多言語化することができます。
博物館や美術館、自治体、公共交通(電車、バス、高速道路、道の駅など)、フランチャイズ、各業界に特化し、造詣の深いバイヤーとのマッチングを希望しています。
弊社のアプリの特徴は、情報が切り替わることです。例えば、三重県の斎宮歴史博物館では、日本遺産「祈る皇女斎王のみやこ 斎宮」を楽しむための多言語対応アプリ「日本遺産斎宮ガイド」として導入して頂いていますが、周りに切り替わるものがないため、ユーザーにメリットを体感して頂けません。公共交通で導入して頂けると地区ごとに情報が変わるメリットを活かすことができます。
観光での活用の他には、例えば様々なブランドのファミリーレストランチェーンを運営する外食チェーン企業様だと、弊社のアプリは基盤なので、ブランドごとに、自動的に切り替わってくれます。個別にアプリを作る必要はありません。同様に美容業界や理容業界など、小さなお店が独自で情報を発信するのは大変ですが、弊社のアプリなら自動で切り替わってユーザーに表示してくれます。
都市型の観光地では、観光と商業が分離しているため、観光客が沢山訪れても、商業効果が薄いという課題を持つ地域が多く存在します。弊社は「観光と商業の融合」を目指し、地域活性化のためのDX化情報基盤アプリとしてお役にたてるよう成長させて行きたいと考えています。
また、新たに、ものづくり補助金を申請して開発したいと考えているのは、地震などの有事が起きた際、避難場所の情報に切り替えて表示させることです。駅などには避難所が掲示されていますが、日本語だけです。それを多言語で表示し、海外からの観光客に提供したいと考えています。
私は大学卒業後、制御系システム会社に入社し、システムの開発を23年間経験しました。特に、通信制御プログラム開発に携わってきたことから、Beacon(ビーコン)やGPSといった通信デバイス関連の開発を得意としています。その後、独自のサービスを開発・提供したいと考えるようになり、2008年に夢現舎を設立しました。
設立当初から、情報サービス業(ソフトウェア業、情報処理・提供サービス業)として、サーバーホスティングサービスやアプリ、ゲームシステム、ソフトウェア開発を手掛けるほか、プロフェッショナルサービスであるホスティングサービス、国政選挙の出口調査のネットワーク通信インフラ運用といった事業を行っています。
夢現舎が目指しているのは「日本文化をICT/IoTで支援する、ビジョナリーウェアカンパニー」です。「まぶしいくらいに明るい未来(ビジョン)を実現する道具(ウェア)」という思想で開発を進めており、そうして開発した製品・サービスを「ビジョナリー・ウェア」と呼んでいます。導入、利用が開始されて終わりではなく、そこから社会の発展に寄与するよう成長や進化が始まる。「ビジョナリー・ウェア」という言葉には、弊社の想いが込められています。
2000年から2年間、米シリコンバレーのベンチャー企業創業メンバーとしてIT業界を、世界から日本を体感してきました。そのとき、ソフトウェアテクノロジそのもので世界と渡り合うのは無理だと痛感しました。日本が勝てるものは何かと模索した結果、日本文化に対する価値は高いと気付き、日本文化でなら世界と渡り合えるとの考えに至り、ICT技術で日本文化を支援することをミッションとしました。
今後、日本文化に寄与できる、地域DX化情報基盤アプリ/サービス「mD-Signage」を発展させたいと考えています。
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