IoT対応AI外観検査ソフトウェア
「Robotic Inspector AI Int.」を開発

株式会社AFC研究所
代表取締役社長 浅井真吾
ゼネラルマネージャー(自動化IoT化/ソリューション担当) 柴田優

誰でも使えて、簡単、高精度なAI外観検査を実現

開発風景

─補助事業の成果である製品・サービス・技術等について教えてください。

弊社で開発した、「IoT対応AI外観検査ソフトウェア“Robotic Inspector AI Int.(ロボティックインスペクターAIインテグレーション)」は、これまで人が目で判断していた異常や傷、汚れ、あるいは、個数を数える、といったことを、カメラと画像処理ソフトウェアによって識別・判定するシステムです。

「色や大きさの情報などを元にした定量的な異常の判別に強いルールベース」と、「判別ルールの作成が難しい異常に対してDeep Learningを使用して異常を判別するAI」の2方法の選択が可能です。専門知識が不要で、直感的なユーザーインターフェイスと精度の高い検査・検証機能で、誰でも簡単に操作できます。また、ラインスキャンカメラにも対応しており、エリアカメラでは検査が難しい光沢が強い製品や円筒上製品の検査も可能となっています。

目視検査での「判断基準のばらつき」「検査員の教育に時間がかかる」「検査結果の改ざん」などの課題に対し、画像処理技術を用いることで、判別が安定化し品質が向上します。また、デジタルデータの蓄積により、検査エビデンスが残り、トレーサビリティが確保され、品質に対するコンプライアンスの向上にも貢献します。かつ、蓄積した検査結果データを解析することで、不良原因を特定できます。生産工程の改善や使用部材の適切な管理を行うことで、生産性向上にも寄与します。

ものづくり補助金は、外観検査の課題を解決することができるAI外観検査ソフトウェアの開発に活用させて頂きました。開発は、大きく3つの観点で進めました。1つ目は使いやすさ。2つ目は検査ができる対象を広げる。3つ目はより正確に検査する。この3つを目的として、2種類のカメラに対応できるAI外観検査ソフトウェアとしたり、検査の確からしさを検証するためのソフトウェア機能を追加したりと、様々な用途でものづくり補助金が役立ちました。この開発で更に外観検査の精度が上がり、使い勝手の良いシステムとなりました。

─それは世の中にどう役に立つとお考えですか?

少子高齢化や若者の製造業離れなど、製造業にとって苦難な時代となっています。しかし、日本の高度経済成長を支えてきたのは製造業です。弊社のスタッフは、ほぼ全員、製造業出身ということもあり、製造業に対する想い入れがあり、製造業に恩返しをしたいという気持ちで取り組んでいます。

人手が足りなくなっている現状から、近い将来検査人員の確保ができない時代がやってくると考えています。そういった危機感は、製造業のお客様はお持ちだと思います。そうした時代に、当社製品で人に替わり検査ができることで、世の中のお役に立ちたいと考えています。

また、「日本人はルールを守る」という性善説に基づいて、目視検査は行われてきました。しかし、忙しいゆえに確認していないのに確認したことにする、といった不正が現実に起きています。不正が一度発覚すると企業は大損害を被ります。不正の意図がなくとも、〇×で結果を残す方法では、エビデンスとはなりません。間違いも起こります。重要なのはエビデンスです。エビデンスを残さない限り、外観品質に対する証明とはなりません。「Robotic Inspector AI Int.」を活用すると、画像データやCSVデータで記録されるので、エビデンスが残ります。そのような視点でも、世の中のお役に立てると思います。

─競合と比べて優位性は何でしょうか?

現在は、ディープラーニングを用いた画像処理技術を軸に事業化した会社が増えています。今後は、製品の良し悪しや導入後のサポートの差で、このような会社の淘汰と合併が始まってくると弊社では捉えています。

その中で、弊社と他社との違いは、弊社は思想の点でAIを、あくまでもツールとして捉えており、使うのは人だと考えているところです。人が使うことを前提に、導入されたお客様の方々が使って頂きやすいようにすることが大事だと思っています。なぜなら、外観検査ソフトウェアを導入しても、使いこなせていないという状況を、数多く目の当たりにしてきたからです。

「Robotic Inspector AI Int.」は、「使い勝手の良さ」を意識してパッケージ化することで、現場でお客様が簡単に運用できるようにしています。

また、AI外観検査は、検査条件の調整にノウハウが必要になる部分もあるため、導入直後はお客様と弊社が伴走しながらお客様が自走できるまでサポートしています。決して、お渡しして終わりではありません。サポートの充実が、優位性だと考えています。

次に、製品の機能面で考えた場合、エリアカメラ、ラインスキャンカメラの2種類に対応し、幅広い領域の検査が可能であるという点も優位性です。エリアカメラというのは、スマートフォン等に使われている、撮影すると二次元の画像が撮れるカメラです。ラインスキャンカメラというのは、プリンターのスキャナーのように、線が走って、二次元の画像にするカメラです。「Robotic Inspector AI Int.」は、エリアカメラだけではなく、ラインスキャンカメラも採用可能です。ラインスキャンカメラとAIを組み合わせたシステムは、世の中にあまりなく、これも弊社の一つの優位性だといえます。

利用頂きたいのは製造業のお客様、自動機メーカー様と商社様

測定値の図

─どのような使用シーンをお考えですか?

利用するのに最もイメージして頂きやすいのは、製造業のお客様だと思います。例えば、製造ラインや、受け入れ検査、出荷前検査において、検査者の方が目視で行っている確認作業を、人ではなく「Robotic Inspector AI Int.」が行うことで、正確に、かつ、効率的に処理できます。

識別・判定できるものは、例えば、プラスチック品、プレス品、鋳造物、塗装やメッキなどの表面処理を施した製品など様々。特に、検査が難しいとされる透明品も検査が可能です。透明品は、光が透過・反射・乱反射し、検査が難しい製品です。加えて、背景の写り込みも発生します。そのため、識別・判定が難しいのですが、弊社のスタッフは光学機器メーカー出身者が多いため、正確な検査を可能にしました。

一方で、製造現場をよく見てみると、検査工程以外にも人が何か作業をしながら、何か異常があれば見つけている通称「ながら検査」と呼ばれる検査を行っている場合があります。このような「ながら検査」をAI外観検査化することでも、品質向上に貢献できると考えています。

また、「Robotic Inspector AI Int.」は、自動機と組み合わせて活用することで、品質向上に加えて、省人化や検査時間の短縮も実現も可能です。外観検査の自動化で、「検査人員が集まらない」「検査が終わらないから出荷ができない」という課題を解決し、生産性向上を支援します。

─どのような場所・人に使ってもらいたいとお考えですか?

導入事例として、金属製品を製造している大手企業様に導入して頂きました。この会社様が扱っている金属部品は、微少な不良である上、加工時の油が付着した状態で検査をする必要があることから、人が目で見ても見逃してしまいがちになり、逆にしっかりと見ようとすると非常に時間がかかるものでした。目視検査による不良流出は、安全面や機能面に大きな影響を及ぼし、見逃しが大きな問題になることがあります。

一日に数千個から数万個が生産され、不良の発生頻度が1%を下回るような場合、人による検査ではどうしても不良を見逃すリスクが高くなります。一方、不良の流出は、お客様からのクレーム、最悪の場合はお客様のリコール問題などに波及する恐れがあります。「Robotic Inspector AI Int.」の導入により、このような事態を避けることが可能となります。

─どのようなバイヤーとマッチングしたいですか?

バイヤー様のパターンは、2パターンあると思っています。

1つは、「Robotic Inspector AI Int.」を実際に活用していただく、ものづくりをされている製造業のお客様。品質課題や、検査が足枷になって生産数量が増やせないといったお悩みを持つお客様です。

もう1つは、「Robotic Inspector AI Int.」を弊社と一緒に、販売して頂ける会社様です。

特に、自動機を生産されている自動機メーカー様や、生産現場へ提案できるソリューションをお持ちの商社様とは親和性が高いと考えています。

「Robotic Inspector AI Int.」を活用頂けるよう、全力でサポートさせていただきます。

開発風景、モニターを見る図

今後の展望を教えてください。

AI技術は、日進月歩な技術だとこの業界にいるからこそ感じます。市場の情報を常にキャッチアップしながら、お客様が使って頂きやすいよう、「Robotic Inspector AI Int.」を進化させ、より良いものに仕上げて行くことは、AIに関する事業に従事している会社の大きな責任だと思っています。

サポートに優位性があると、お話ししましたが、弊社がノウハウをお客様にサービスとして提供するだけでなく、ノウハウを機能として「Robotic Inspector AI Int.」や、様々なソフトウェア、クラウドシステムに盛り込むことを予定しています。そうすれば、今よりもお客様にとって使いやすいシステムになると考えています。

また、弊社では、メカニカルな検査データをデジタル化する「検査データデジタル管理ソフト“Parrot”」も展開しています。「Robotic Inspector AI Int.」と「検査データデジタル管理ソフト“Parrot”」を連携することも、今後進めたいと考えています。同じ検査という領域を補完しているため、シナジーを持たせることができます。例えば、「Robotic Inspector AI Int.」のJPG画像やCSVデータを、「Parrot」の検査データと総合管理し、データ同士を紐付け、その結果を分析することで、「不良品を見つける」の先にある「不良データの解析による原因追求」につながると考えています。

我が国の製造業の発展には、AIの活用が必要不可欠です。AIはまだまだ、活用できる用途はあります。しかもAIは発展途上、常に進歩しています。今後も製造業にAI技術を活用し、多くの製造業に従事する皆様のDX推進に貢献して行きたいと考えています。

付随作業のDX推進により、品質改善・生産性向上を実現

オフィス風景

─御社の概要や特徴、事業内容を教えてください。

弊社は、2019年の創業以来、コンサルティング事業を行ってきました。特に、製造業における経営者様の課題あるいは現場の課題、例えば、どうして生産数量が上がらないのかとか、利益が上がらないのかという課題の原因発見と解決に取り組んできました。

このコンサルティング事業を起点として、自動化IoT化ソリューション事業、システムソリューション事業の3領域を展開し、さらにこの3つを融合させながら、お客様の持続的な成長をご支援しております。

お客様の様々な課題に対し、解決策を提供させて頂くための手段として自動化IoT化を提案しています。お客様個別の課題の解決策となる場合は、課題にあわせた自動化IoT化を提供しています。自動化IoT化の中で、製造業のお客様における共通的な解決策として提供できる可能性がある機能は、その機能を自社製品として開発・提供していこうと考えています。

自動化IoT化を進めると、様々なデータが自動的に蓄積されます。そのデータを活用し、隠れた課題を見つけ、解決していく支援も行っています。

社名看板と社員

─どのような背景・目的で本事業に取り組んだのですか?

製造業では、人が従事する作業を直接生産に寄与する正味作業、生産には必要であるものの寄与していない付随作業、生産に必要ない上に寄与もしていない無駄作業の3つに分解して考える方法があります。

正味作業の比率を増やし、無駄作業と付随作業を減らすことで、生産性が向上します。一方で、この考え方をすると多くの製造業は、効果が算出しやすい正味作業に着目し自動化を進めていこうとします。付随作業は、削減の効果がわかりにくいと、なおざりになりがちで目を向けられません。

その付随作業の中に、弊社が注目している検査作業があります。

本来、生産する全製品が良品であれば検査は必要ありません。ある一定数量は不良が発生してしまうため、検査作業を無くすことは困難です。且つ、昨今の生産労働人口の減少に伴い検査人員が確保できないという課題もあります。また、品質問題が発生すると多くの場合、発注した企業は、発注先に「全品検査」を指示します。そのことを考えても、検査は付随作業の中でも製造業への影響が大きな作業だといえます。

お客様は、コストへの影響が試算しやすい生産性向上や工数削減を求めます。一方で、製造業における真のコストに対して、品質不良はボディブローのように目に見えない形で大きな影響を与えていると考えています。品質不良が発生すると、ラインストップ、在庫の調整、生産計画の変更、顧客への説明等、多くの人々に影響を与え多くのロス費用が発生します。このロス費用は、工数削減による効果よりも大きい場合があることに気がついていない場合が多々あるように見受けられます。このような視点から、弊社では品質の向上が将来的なコスト低減や生産性向上に寄与すると信じて検査領域の事業に従事しています。

このような製造業の置かれている環境を捉まえ、製造業の課題解決を進めるために、ものづくり補助金に応募し、「Robotic Inspector AI Int.」を開発しました。本ソフトウェアが検査のDX化を推進し、品質向上や生産性向上の一助となれば幸いです。

出展情報

Data

出展物の業種
情報・通信
補助事業実施年度
令和元年度
補助事業計画名
IoT対応型自動外観検査システムの試作開発

企業プロフィール

Profile

社名
株式会社AFC研究所
創業年月
2019年5月
代表者
浅井真吾
本社所在地
〒162-0802 東京都新宿区改代町33-17 第2NHビル5F
TEL/FAX
03-6265-0979
ホームページ
https://afc-lab.jp/
資本金
1,000万円
従業員数
8名
取扱製品
IoTインテグレーション事業/生産プロセス変革コンサルティング/AI外観検査・寸法検査システムの開発、製造、販売/ファクトリーオートメーション支援

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