弊社は、ものづくり補助金を活用し、測量において3Dスキャナによる三次元測定に取り組みました。
三次元測定とは、物体を立体的に測定する方式です。弊社の三次元測定は高精度で、測定範囲は約300mと通常の測定機器より遠方からでも測量できるのが特徴です。しかし、もっと遠くの、人が入りづらいような場所、例えば山に架かる陸橋などを測定したいといったニーズがあったため、再度、ものづくり補助金を活用させて頂き、測定範囲が約900mの三次元測定機器を導入しました。
元々は、建設会社さん、ゼネコンさんなどのための三次元測定と考えていたのですが、災害地域でも応用できないかと研究した結果、三次元データの差分解析を行うことで動きがあるところと、ないところを数字的に見つけることが可能となりました。そして、その数字を三次元の表現方法で立体的に拡大表示することで、災害地域の安全度を分かりやすく、可視化表現することに成功しました。
動きを調べるのには基準点を決め、定点観測を行うのが一般的です。ただ、それでは基準点以外の部分において動きがあるかどうかを調べることができません。しかし、弊社の技術は面的に調べて表現できるため、災害地を含め、様々な場所での応用が可能となります。
このことを発見するに至ったのには、地盤改良という業務において、三次元測量を利用して頂いたことにあります。依頼内容は三次元測定において動きを標高に色分けして表現するというものでしたが、それを他の方法で表現できないかを研究しました。そして試行錯誤を重ねることで、平面に三次元データを描写させ、差分解析を可能としました。災害地域で応用すると、例えば、土砂崩れが起きているところを2時間おきに解析すれば、崩壊が止まったのか、進行しているかが分かるようになります。そのことは、2次被害を防ぐことにもなるのです。
高速道路や橋脚、コンクリートの構造物・トンネルなどが錆びや自然の影響(地震・台風など)などで膨らんだり変形してきていたりしても、塗装にひびが入っていない限り見た目では分かりません。三次元測定を用いて最低半年に一度定期的に観測することで、膨らみや変形が出て来ていることが三次元に表現(専門家でなくても見た目で判断できる)することができるようになります。見た目では見つけられないものを見つけ更なる詳しい検査を行うことで、早期に改修工事やメンテナンスができ、構造物の長寿命化が図れます。
また、災害に関しては、山が地滑りを起こす予兆を知ることができるのです。そして、危険性が本当になくなったのかどうか、測定をして地滑りが止まっていることが確認できれば、2次災害、3次災害を防ぐことができます。
三次元測定を行う会社さんは数多くあります。しかし、色で二次元的に表現することはあっても、三次元測定データから差分解析を行うという考え方で、動きを拡大表示して可視化している会社さんはありません。また、垂直面に対しての動きの差分解析については、まだどこの会社も行っていないですし、トンネルの差分解析を行えるのは、当社だけだと理解しています。
この技術に関して現在、特許申請を行うための準備を進めている段階です。
弊社の三次元測定は、高速道路や橋脚、コンクリートの構造物、他にはトンネルなどでも活用できます。また、災害時にも活躍します。
建設会社さん、ゼネコンさんはもちろん、公共施設の管理者さんにも活用して頂きたいと考えています。例えば、高速道路事業者さんや、橋や国道の管理者さん。そういうところでは定期的に種々の検査をしていると思いますが、現検査には特殊性があり熟練者でないと判断が付かないことがあります。これからは高齢の熟練者が減少する中で、誰にでも理解できるように表現することが求められて行くと考えています。
高度経済成長期に建築した構造物は現在、劣化しつつあり、メンテナンスが急がれています。しかし、見た目では劣化が判断できないため、メンテナンスの必要性は分かっていても放置されているケースが多いのが現状です。弊社の三次元測定によって発見できれば、それに合わせた部分検査を行い、処置をすることができます。
弊社の三次元測定は、機器をレンタルするのではなく、業務を弊社が受託するスタイルです。動きがあるものに関しては1か月。変化が少ないものに関しては半年、1年というスパンで定点観測をしていきます。
三次元測定を必要とする建設会社さん、ゼネコンさん。あと、電力関係の会社さん。電力関係さんの場合、発電所の建物や地表面の異常を心配されていると思います。そういうところはぜひ、三次元測定を活用して頂きたいと考えています。
また、弊社の営業力が不足しているため、営業支援をして頂ける会社様とマッチングしたいと考えています。また、メンテンナンスが専門の建設コンサルタントさんとはぜひ、お話をさせて頂きたいと考えています。
まずは、三次元測定の検査事業を拡大したいと考えています。現在、様々なお客様から、いろいろな相談を頂いています。例えば、ガス漏れを稼働中に探知できないかとか、工場内・プラント施設内の設備の異常を早期に発見することはできないかなどです。配管からのガス漏れでは特殊な音が出ます。その独特の周波数帯を超音波測定を行うことでガス漏れ箇所が発見できます。施設異常の発見では、動画撮影で振動を検知測定し、異常振動だけを検出することで、壊れる可能性が高い部分や機器を早期に発見することができるのです。そうした要望に対応させることで、三次元測定をより強化したいと考えています。
弊社は測量会社です。測量会社は男性の多い職場ですが、これからは女性が当たり前に働いていけるような環境にしていきたいと思っています。従来の測量方法に加え、最近はドローン(UAV)や4足歩行ロボット、GNSS(全地球航法衛星システム)を活用した、先進的な測量を行っています。そのことで、企業イメージも上がり、若い人たちが採用できるようになってきました。
また、長年、測量を手掛けてきたことで現在は、建設会社さんやゼネコンさんにコンサルタントを提案している状態です。そのコンサルタント力と先進的な測量機器を評価して頂けております。
経済成長が鈍化している日本では、高度経済成長期のように新しいインフラを造ることは難しくなっています。今あるインフラをこれからも使い続けるには、今あるインフラを維持する。メンテナンスを定期的に行い異常個所を早期に見つけるしかないと考えています。
また、日本は災害大国でもあります。なぜ、災害大国になったのかという一つの原因として、国土を開発し続けたことがあります。道路がなかったところに道路を作ったり、土地を削って住宅街を作ったり。そうしたことで災害に遭う危険度が高まったと考えています。災害をいかに減らすかというところでも定期検査は重要だと考えています。
Profile
CONTACT